口ゴボ矯正で横顔・見た目はどれくらい変わる?|ケースごとの最適な治療を解説
コラム
2025.06.25
2025.06.26

「歯並びは悪くないのに、横顔が気になる」
「口元がもっこりしていて、マスクを外すのが不安」
そんなお悩みを抱える方の中には、「口ゴボ(上下の歯列が前方に突出している状態)」が原因になっているケースが少なくありません。
最近では、Eラインや横顔のバランスを意識する方が増え、「歯列矯正で口ゴボは治るのか?」「どこまで変化するのか?」という声を多く聞くようになりました。
しかし実際には、矯正治療だけで変化が出るケースと、骨格的な問題のため外科的な治療(顎変形症治療)が必要になるケースがあり、正しい見極めが重要です。
この記事では、日本矯正歯科学会認定医である院長の小田垣が、口ゴボ矯正の基本から、変化が出やすい治療法の選び方、外科矯正が必要となるケースまで、丁寧に解説します。
そもそも「口ゴボ」とは?どうして目立つのか
口元が前方に突出して見える「口ゴボ」は、見た目に強く影響するため、近年とくに注目されるようになった審美的な悩みのひとつです。
「歯並びは悪くないのに、なぜか口元が出て見える」と感じている方は、この“口ゴボ”の状態に該当している可能性があります。
医学的には「上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)」と呼ばれる状態で、上顎と下顎の両方が前方に位置していることで、口元全体がモコっとして見えてしまいます。
そのため、Eライン(鼻先とあご先を結ぶ線)から大きく唇がはみ出すことが多く、横顔のバランスが崩れてしまいます。
口ゴボは見た目だけの問題ではありません。口元の突出によって唇が閉じづらくなると、口呼吸の習慣やドライマウス、虫歯・歯周病のリスクも高まります。また、「人前で話すのが恥ずかしい」「写真写りが気になる」といった心理的ストレスにつながることもあります。
口ゴボは、歯並びやあごの骨の構造など、複数の要因が絡んでいるため、矯正治療の方針を立てる前に、まず原因をしっかり見極めることが重要です。
口ゴボの原因は「歯並び」だけではない
一見すると「歯並びの問題」と思われがちな口ゴボですが、実際には歯の位置だけでなく、骨格そのものに原因があるケースも多く存在します。
歯並びが前方に出ていることで唇が押し出されている場合は、矯正治療によって歯列を整えることで改善が期待できます。しかし、あごの骨自体が前方に出ている「骨格性」の口ゴボでは、歯だけを動かしても十分な変化が得られないことがあります。
また、見た目には軽度に見えるケースでも、実際には噛み合わせの不調和が隠れていることもあり、自己判断は禁物です。歯科医院での精密な検査を通じて、歯槽性(歯の位置の問題)か骨格性(骨のズレの問題)かを見極める必要があります。
ここからは、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
歯列の突出による口ゴボのケース
歯が前方に傾いて並んでいる状態、あるいは歯列そのものが全体的に突出している場合、これが口元のふくらみに直結し、口ゴボの印象を与えます。
特に前歯の傾きが強いケースでは、唇を内側から押し上げるような形となり、横顔に影響を及ぼします。
このタイプの口ゴボは「歯槽性の突出」と呼ばれ、矯正治療によって比較的改善しやすい傾向があります。歯の位置をコントロールすることで、口元の印象を後退させ、Eラインとのバランスも整えることが可能です。
治療法としては、抜歯を伴う矯正が選択されることが多く、前歯を内側に引き込むスペースを確保しながら歯列全体を整えていきます。
使用される装置には、表側矯正・裏側矯正・マウスピース矯正などがあり、患者様のライフスタイルや口腔内の状態に応じて選択されます。
骨格のズレ(上下顎前突や顎変形症)による口ゴボのケース
もう一つの大きな要因が、「上下のあごの骨格そのものが前方にずれている」状態です。このような骨格性の口ゴボでは、歯の位置を動かすだけでは限界があり、見た目の大きな変化は期待しづらくなります。
上下顎前突や顎変形症の代表的な症状としては、前歯が出ているにもかかわらず正しく噛めない、上下のあごのバランスが悪く口元が常に緊張している、といったものがあります。
このようなケースでは、通常の矯正装置による治療に加え、外科的な処置(外科矯正)を併用する必要があります。あごの骨を手術で正しい位置に整えることで、噛み合わせの改善だけでなく、横顔や口元のバランスも大きく改善されます。
矯正だけで解決できるのか、それとも骨格の手術が必要かの見極めには、歯科医師による精密な診断が不可欠です。治療のアプローチを誤ると、見た目の変化が不十分なまま治療が終了してしまうリスクもあるため、慎重な検討が求められます。
口ゴボ矯正で「どこまで変化するのか」|治療法別に比較
口ゴボに悩む方の多くが気にするのは、「どれくらい見た目が変わるのか」という点です。実際に矯正治療によって得られる変化は、治療法や症状の原因によって大きく異なります。
歯列の傾きが主な原因であれば、歯を内側に移動させることで唇の突出が抑えられ、横顔の印象も大きく変わることが期待できます。一方、骨格そのものが前方に出ている場合には、矯正単独では限界があり、大きな変化を実感しにくい場合もあります。
ここでは、代表的な治療法ごとに、変化の出やすさや適応症例の特徴を見ていきましょう。
マウスピース矯正で改善しやすいケース
近年注目されているマウスピース矯正は、透明な装置を用いることで目立ちにくく、通院頻度も少ないという利便性の高い治療法です。
歯の軽度な突出や前歯の傾きが主な原因となっている口ゴボには、十分に効果を発揮することがあります。
たとえば「非抜歯でも改善できる程度の前歯の前突」であれば、マウスピース矯正でも唇のラインに明らかな変化が出ることがあります。とくに「Eラインを意識したい」という見た目重視の方にとって、歯列の後退による輪郭の変化は大きなポイントになります。
ただし、マウスピース矯正は適応範囲に限りがあるため、「歯の移動量が大きいケース」「上下顎ともに前突があるケース」では、ワイヤー矯正や外科的処置の検討が必要になります。
表側・裏側矯正の違いと効果
口ゴボの改善を目指す際、ワイヤー矯正は最も広く適応される治療法です。なかでも「表側矯正」と「裏側矯正」では、見た目や治療中の快適さに加え、歯の動かし方にも違いがあります。
表側矯正は歯の表面に装置を装着し、力のかかり方がシンプルであることから、複雑な症例にも対応しやすい特徴があります。対して裏側矯正は、歯の裏側に装置を取り付けるため、装置が見えにくいという大きなメリットがあります。
裏側矯正では、歯を内側に引き込む動きが得意なため、前歯の突出を伴う口ゴボには特に適しています。実際、当院では「目立たない上に、より効果的に前突を改善できる」として裏側矯正を選ばれる患者様も多くいらっしゃいます。
さらに、上下どちらか一方を裏側にする「ハーフリンガル」にも対応しており、審美性とコストのバランスを取りたい方にも選ばれています。
骨格に問題がある場合の限界と判断基準
歯列の矯正で十分な変化が出るのは、「歯の位置の問題」である場合に限られます。
しかし、骨格性の口ゴボの場合、歯をどれだけ動かしても、土台となるあごの骨の位置が変わらなければ、横顔やEラインに大きな変化は現れにくいのが実情です。
このような症例では、抜歯を行って前歯を後方に引いても、唇の突出感や口元の緊張感が残ることがあります。また、無理に歯を動かすことで噛み合わせが悪化したり、歯列が不安定になるリスクもあるため注意が必要です。
骨格性かどうかを見極めるためには、セファロ分析(頭部X線写真)やCTスキャンを用いた精密検査が欠かせません。患者様の主訴が「見た目を大きく変えたい」というものであれば、なおさら診断力の高い医院での評価が重要です。
骨格的な原因がある場合は「顎変形症治療」も選択肢に
歯並びの調整だけでは理想の横顔に届かない。そのような場合、検討すべきなのが「顎変形症(がくへんけいしょう)」に対する外科的な矯正治療です。
顎変形症とは、あごの骨に骨格的なずれやアンバランスがあり、上下左右の位置関係が大きく崩れている状態を指します。上下顎前突のように、上あごと下あごの両方が前方に突出している場合は、この顎変形症に該当するケースも少なくありません。
こうした骨格的な問題は、歯の矯正だけでは改善が難しく、外科手術によって骨の位置を適切に整える必要があります。
矯正単独では治せない口ゴボとは
口ゴボの中には、歯の位置や傾きが主な原因となっている「歯槽性」のケースと、あごの骨格自体が突出している「骨格性」のケースがあります。
特に後者は、単なる矯正治療では変化が出にくく、「思っていたほど変わらなかった」「横顔に満足できなかった」という後悔の声につながることもあります。
顎変形症の代表的な症状には、上下顎前突・下顎前突(受け口)・開咬・左右のゆがみなどがあり、こうした症例では外科的矯正(=外科手術+矯正治療)の適応となる場合があります。
外科矯正を行うには、特定の医療機関での診断や、保険適応のための条件を満たす必要があります。当院では連携医療機関と協力しながら、正確な診断と治療計画を立てる体制を整えています。
外科矯正の流れ・費用・リスク
外科矯正の治療は、以下のようなステップで進行します。
-
精密検査・診断
顎の動きや骨格のバランスを評価するため、専用の検査を実施します。矯正単独での改善が困難と判断された場合、外科手術を前提とした治療計画が立てられます。 -
術前矯正(約1年〜1年半)
手術の成功率を高めるため、あらかじめ歯の位置を整えます。この期間中は主に表側矯正装置を使用します。 -
外科手術(入院期間:約10〜14日)
連携病院にて、全身麻酔下で骨の位置を調整する手術を行います。術後は一時的な腫れや痛みがありますが、多くは数週間で落ち着きます。 -
術後矯正(約6ヶ月〜1年)
骨格が整った後、細かい噛み合わせや歯並びを仕上げていきます。 -
保定期間
歯と骨が安定した位置を維持できるよう、リテーナー(保定装置)を装着します。
外科矯正は「手術」と聞くと大がかりに感じられるかもしれませんが、健康保険が適用されるため、費用面では大幅に軽減されるのが特徴です。総額でもおおよそ15〜40万円程度の自己負担におさまることが多く、審美性・機能性の双方を大きく改善できる治療法として注目されています。
ただし、手術に伴うダウンタイムや麻酔・入院のリスクもあるため、事前のカウンセリングや十分な検査のうえで適応かどうかを慎重に判断する必要があります。
口ゴボの患者様から当院の矯正治療が選ばれる理由
「見た目の改善と噛み合わせ、どちらも妥協したくない」
そんな患者様の思いに応えるため、鶴見ニコ矯正歯科では審美性と機能性を両立させる矯正治療を提供しています。
当院が口ゴボ矯正において選ばれる理由は、単に装置の種類が豊富というだけではありません。認定医による正確な診断と、一人ひとりに合わせた治療設計、そして見た目にも配慮した仕上がり重視の治療方針にあります。
見た目と噛み合わせの両立を目指した治療設計
口ゴボの改善において重要なのは、「見た目を整えること」と「噛み合わせを安定させること」を両立させる治療計画です。
前歯の突出だけに注目してしまうと、噛み合わせに無理が生じてしまい、治療後の後戻りや顎関節への負担につながることもあります。
当院では、前歯の角度・歯列全体のアーチ・顎の動きなどを精密に分析し、審美性と機能性を両立した治療設計を行っています。
また、口元だけでなく横顔やEライン、スマイルラインにも配慮し、患者様の「こうなりたい」という理想に近づけるよう治療を進めています。
認定医による精密な診断と治療法の選定
鶴見ニコ矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医がすべての患者様の診断・治療方針の策定を担当しています。
初診相談から精密検査、治療計画の立案、治療中の調整にいたるまで、すべて認定医のチェックのもとで行われるため、安心してお任せいただけます。
特に口ゴボのように、骨格的な要素と審美的な希望が絡み合うケースでは、診断の精度が治療結果を大きく左右します。
当院では、CT・セファロ分析・3Dシミュレーションなどの検査データを活用しながら、歯並びだけでなく顔貌全体のバランスまでを見据えた判断を行っています。
裏側矯正・ハーフリンガルにも柔軟に対応
「矯正中の見た目が気になる」「仕事柄、装置が見えない方がよい」
そうしたニーズに応えるべく、当院では裏側矯正(リンガル矯正)や、上顎を裏側・下顎を表側で行うハーフリンガル矯正にも対応しています。
裏側矯正は、歯の裏側にワイヤーを装着するため装置が外から見えず、特に審美性を重視する方に適した選択肢です。
また、裏側から前歯を引き下げる力がかかるため、口ゴボの改善においても高い効果が期待できます。
鶴見ニコ矯正歯科では、こうした裏側矯正においても多くの実績を有しており、患者様のご要望や口腔状態に応じて最適な装置をご提案しています。
費用や通院頻度についてもわかりやすくご説明し、不安なく治療に進めるよう配慮しています。
まとめ:口ゴボ矯正は「変化の出る治療法選び」が重要
口元の印象を大きく左右する「口ゴボ」は、見た目に対するコンプレックスを抱える方にとって非常にデリケートな悩みです。
矯正治療で改善を目指す際には、「どこまで変化が出るのか」「自分の症状に合った治療法はどれか」を正しく見極めることが、後悔しないための第一歩となります。
口ゴボの原因は、歯の傾きや歯列の位置だけでなく、骨格そのものにあるケースも少なくありません。そのため、マウスピース矯正・表側矯正・裏側矯正といった装置の選択肢だけでなく、外科的なアプローチ(顎変形症治療)を視野に入れた診断が欠かせません。
自己判断で治療法を決めてしまうと、「思ったより見た目が変わらなかった」「骨格の問題だったことにあとから気づいた」といった後悔につながることもあります。
だからこそ、矯正治療の経験豊富な認定医による評価と、顔全体のバランスまで加味した設計が重要なのです。
鶴見ニコ矯正歯科では、見た目と機能性を両立させる治療を重視し、裏側矯正や外科的矯正にも幅広く対応しております。
「横顔を整えたい」「本当に納得できる変化を得たい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

監修歯科医師
小田垣 直弥
院長
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。

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