矯正用アンカースクリューは痛い?怖い?「骨にネジ」と聞いて不安な方へ、仕組みと役割を徹底解説
矯正コラム
2026.01.29
2026.02.10
歯列矯正の相談をしている中で、「アンカースクリュー(骨に小さなネジを入れる方法)」を提案され、少し身構えてしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「口元が下がると言われたけれど、本当に必要なの?」
「痛みが強かったらどうしよう」
「ネットで“失敗”“抜けた”という言葉を見て、不安になった」
こうした気持ちを抱く方は、決して少なくありません。
むしろ、初めて聞く治療法だからこそ、疑問や不安が出てくるのは自然なことです。
一方で、アンカースクリューはすべての方に必須の処置というわけでもなく、向き・不向きがはっきり分かれる治療法でもあります。
この記事では、
- アンカースクリューとは何か
- どんな目的で使われるのか
- 痛みやリスクはどの程度なのか
といった点を整理してお伝えします。
治療を受けるかどうかを決める前に、「判断材料」として知っていただくことが目的です。
目次
「骨にネジ」の正体|なぜアンカースクリューが使われるのか

治療を決める前の方がイメージしやすいよう、アンカースクリューによって「何がどう変わるのか」を具体的に整理しています。メリットを中心に、治療の選択肢として理解しやすい構成にしています。
アンカースクリューと聞くと、「できれば避けたい処置」という印象を持つ方が多いかもしれません。
実際、矯正治療の中でも必要なケースは限られており、すべての患者様に使うものではありません。
では、どのような場合にこの方法が選択肢に入ってくるのでしょうか。まずは、アンカースクリューがどのようなものなのか、役割から整理していきます。
直径わずか1.4mm。小さな固定源として使われます

「骨にネジを埋め込む」と聞くと、大きくて硬い器具を想像される方も少なくありません。
しかし、実際に使用するアンカースクリューは直径1.4〜2.0mm程度、長さも6〜10mmほどの非常に小さなものです。
素材には医療用チタンが使われており、人工関節やインプラントにも使用されている素材と同じです。
金属アレルギーが起こりにくく、MRIやCT検査にも影響しにくいという特徴があります。
見た目は小さくても、矯正治療では「歯を動かすための固定源」として重要な役割を果たします。
なぜ必要?|歯を動かすための「支点」の話
矯正治療では、歯を動かす際に必ず「引っ張る側」と「支える側」が必要になります。
従来は、奥歯を支点にして前歯を後ろへ引く方法が一般的でした。ただしこの方法では、前歯を後ろへ下げると同時に、引っ張る力を受けた奥歯がわずかに前方に動いてしまうことがあります。
アンカースクリューは、この「支点」を骨に求めることで、動かしたい歯だけに力をかけやすくする目的で使われます。
特に、
- 前歯をしっかり後退させたい場合
- 口元の突出感を改善したい場合
などでは、治療の選択肢として検討されることがあります。

アンカースクリューで期待できること
アンカースクリューを使うことで、治療計画の自由度が高まる場合があります。
① 前歯を後退させやすくなる
支点が安定することで、奥歯の位置を大きく変えずに前歯を後退させやすくなります。口元の突出感が気になるケースでは、治療結果に影響するポイントの一つです。
② 治療の効率が上がることがある
力のかけ方をコントロールしやすくなるため、不要な歯の動きを抑え、結果として治療がスムーズに進む場合があります。
③ 抜歯を避けられる可能性が広がる
症例によっては、奥歯を後方へ移動させる(遠心移動)ことでスペースを確保し、抜歯をせずに治療できる可能性が広がります。
痛みについて|多くの方が気になるポイントを整理

アンカースクリューについて調べると、「痛い」という言葉が目に入り、不安になる方も多いと思います。
ここでは、処置当日からその後の経過まで、 一般的な流れとして整理します。
処置当日
歯茎に局所麻酔を行ったうえで処置を行います。処置自体は1本あたり数分程度で終わることがほとんどです。
多くの方が、
「強い痛みは感じなかった」
「押されるような感覚だった」
と表現されます。
- 痛みの目安:★☆☆☆☆(ほぼなし)
- 所要時間:1本あたり約5分
麻酔が切れた後〜数日
麻酔が切れた後、鈍い痛みや違和感が出ることがあります。多くの場合、処方された痛み止めでコントロール可能です。
数日経つと、痛みは落ち着き、「異物感」に変わっていくケースが一般的です。
1〜2週間後
粘膜が慣れてくると、日常生活で気になることは少なくなります。
痛みの変化まとめ
| 時期 | 痛み・違和感の目安 | 状態と対策 |
| 当日夜〜翌朝 | ★★★☆☆〜★★★★☆ | 麻酔が切れると、鈍い痛みやジンジンした感覚が出ることがあります。親知らずの抜歯ほどではなく、多くの場合は処方された痛み止めでコントロール可能です。 |
| 2〜3日目 | ★★☆☆☆ | 痛みは徐々に落ち着き、異物感に変わっていくことが多い時期です。 |
| 4〜7日目 | ★★☆☆☆ | スクリューが粘膜に当たり、口内炎ができやすい時期です。専用カバー(ワックス)で和らぐことがほとんどです。 |
| 2週間後〜 | ★☆☆☆☆ | 粘膜が慣れ、日常生活で気になることは少なくなります。 |
※星の数はあくまで目安で、痛みの感じ方には個人差があります。
リスクについて|知っておきたい「脱落」の可能性
アンカースクリューは、100%定着する治療ではありません。文献上、一定の割合(10〜15%程度)でグラつきや脱落が起こることが報告されています。これは施術の失敗というより、骨の質や体質など、個人差による影響が大きいとされています。
年齢による影響
30代以降では、骨代謝の変化により定着しにくいケースが若年層よりやや増える傾向があります。
抜けたらどうなる?
万が一脱落した場合でも、多くは治療を中止する必要はありません。
状態を確認したうえで、
- 位置を変えて再埋入
- サイズの変更
- 期間を空けて再チャレンジ
といった対応を行うことが一般的です。
口元の変化|Eライン・ガミースマイル

アンカースクリューが検討される理由の一つに、口元の変化があります。
1. 横顔(Eライン)の変化
口を閉じた際に口元が膨らむ「口ゴボ」のケースでは、前歯を後ろに下げられる量が治療結果に大きく影響します。アンカースクリューで前歯を後退させやすくなることで、前歯の後退量を確保でき、横顔のバランスが整いやすくなります。
2. ガミースマイルの改善
笑った時に歯茎が目立つ「ガミースマイル」ですが、アンカースクリューで「前歯を上に引き上げる(圧下)」動きを加えることで、歯茎の見え方を改善できるケースが増えています。
鶴見ニコ矯正歯科の考え方
大阪市鶴見区、横堤駅から徒歩すぐの「鶴見ニコ矯正」は、矯正治療を専門に行うクリニックです。当院では、アンカースクリューを「必要な場合に選ぶ治療の一つ」と位置づけています。
日本矯正歯科学会認定医による診断

当院では、日本矯正歯科学会の認定医が診断を行っています。
矯正治療は、歯並びだけでなく、骨の厚みや質、歯根の位置、噛み合わせ、口元全体のバランスまで総合的に判断する必要があります。
特にアンカースクリューは、「使えるかどうか」だけでなく、使わない場合にどんな選択肢があるかまで含めて検討することが大切な処置です。
そのため当院では、骨や歯の状態を一つずつ確認しながら、アンカースクリューを使った場合・使わなかった場合のそれぞれのメリットとリスクを整理したうえで、治療方針をご提案しています。
情報整理のためのカウンセリング

アンカースクリューに限らず、矯正治療では「不安がゼロの状態」で始められる方は多くありません。
「怖い」
「本当に必要なのか分からない」
「できれば避けたい気もする」
そう感じている段階で、ご相談いただいて構いません。
当院では、治療を決めるためのカウンセリングではなく、判断するための情報整理の時間としてお話を伺っています。
無理に治療を進めることはありませんので、「今日は決めなくていい」という気持ちで、気になる点を一つずつ確認していただければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1.アンカースクリューは、必ず使わないといけませんか?
A. いいえ、必ず必要というわけではありません。歯並びや骨の状態、目指す仕上がりによっては、アンカースクリューを使わずに治療できるケースもあります。
当院では、アンカースクリューを使う場合・使わない場合のそれぞれの治療計画を比較しながらご説明しています。
Q2. 途中で「やっぱり不安」になった場合、やめられますか?
A. 状態や治療の進行度によりますが、アンカースクリューを入れる前であれば、治療計画を見直すことは可能です。「一度決めたら後戻りできない」ということはありませんので、不安が出てきた時点で、遠慮なくご相談ください。
Q3. 認定医に相談するメリットは何ですか?
A. 認定医は、一定数以上の矯正治療経験と症例審査を経て認定されています。アンカースクリューのように判断が分かれやすい処置についても、「使う・使わない」だけでなく、その先の治療経過まで見据えた説明ができる点が一つのメリットです。
Q4. アンカースクリューを外したあと、穴は残りますか?
アンカースクリューを外したあとの穴は、多くの場合、数日〜数週間で自然に塞がります。
傷口は非常に小さく、特別な処置が必要になるケースは多くありません。ただし、治癒のスピードには個人差があります。
Q5. 食事や日常生活で困ることはありますか?
処置直後は、違和感や軽い痛みを感じることがありますが、多くの方は数日で普段通りの食事に戻っています。
硬い食べ物が当たりやすい位置の場合は、一時的に注意が必要なこともありますが、生活に大きな支障が出るケースは多くありません。
最後に

アンカースクリューは、確かに不安を感じやすい治療法です。ただ、正しく知ることで、「怖いもの」から「判断できる選択肢」へ変わります。
ご自身に必要かどうかを考えるためにも、気になる点は遠慮なくご相談ください。
監修歯科医師
小田垣 直弥
院長
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。


