口ゴボなのに歯並びは良い人へ|原因と治し方、矯正が必要か専門医が解説
矯正コラム
2026.01.09
2026.01.19
「周りの人からは『歯並びが綺麗だね』って褒められるんです」 「でも、横顔を鏡で見ると、口元がもっこりしていて……」 「これって、ただの私のわがままでしょうか?」
当院のカウンセリングルームで、このように声を落として相談される方が後を絶ちません。
正面から見た歯列はデコボコもなく、整っている。しかし、横を向いた瞬間に現れる「口元の突出感」。いわゆる「口ゴボ」に悩む方は、実は少なくありません。特に最近はSNSで「Eライン」という言葉が浸透し、美容感度の高い10代〜50代の方々にとって、この「歯並びは良いのに口ゴボ」という矛盾は、深いコンプレックスとなっています。
こんにちは。大阪市鶴見区で歯列矯正を専門に行う「鶴見ニコ矯正歯科」です。結論から申し上げます。「歯並びは良いが口ゴボ」という状態には、医学的な原因が必ずあります。そして、それは矯正治療で改善できる可能性が十分にあります。
この記事では、矯正認定医の視点から、なぜ歯並びが良いのに口元が出てしまうのか、その原因と後悔しないための治療法を、ストーリーを交えて詳しく解説します。あなたの横顔の悩みを解消し、心から笑える毎日を取り戻すためのヒントが、ここに見つかるはずです。
目次
口ゴボで歯並びは良い状態とは?
「口ゴボ」という言葉は通称ですが、歯科医学的には「上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)」などの状態を指します。まずは、ご自身の状態を客観的に把握することから始めましょう。
口ゴボの見た目の特徴とセルフチェックの方法
口ゴボとは、鼻先と顎先を結んだ「Eライン(エステティックライン)」に対して、口元が前方に突き出している状態を指します。

【口ゴボの代表的なサイン】
Eラインより唇が出ている:人差し指を鼻先と顎先に当てたとき、唇が指に強く触れる、あるいは押し出される。
口を閉じにくい:意識しないと口が半開きになりやすい。
顎にシワができる:口を閉じようとすると、顎の先に「梅干しのようなシワ」ができる。
ほうれい線が目立つ:口元の突出により、若くてもほうれい線が深く見える。
「歯並びは良い」の基準と専門家から見た評価

ここで重要なのが、「歯並びは良い」とご自身で感じているポイントです。多くの場合、それは「歯がガタガタ(叢生)していない」ことを指しています。
しかし、矯正歯科医の視点は異なります。 プロが見るのは、歯の「並び」だけでなく、「位置」と「角度」です。
たとえ一列に整然と並んでいても、その列自体が「骨格の適切な位置」よりも前方に配置されていたり、歯が外側に向かって傾斜して生えていたりすれば、それは歯科医学的には「改善の余地がある状態」と診断されます。
「整列はしているが、場所が前すぎる」 これが、口ゴボで歯並びは良い人が抱える物理的な正体です。
口ゴボで歯並びは良い人が抱えやすい心理的な悩み
このタイプの悩みを持つ方は、独特の葛藤を抱えています。
正面からの歯並びは整っている一方で、横顔のバランスに悩まれる方は少なくありません 。「今の状態を崩してまで治療をするのは贅沢ではないか」という迷いを感じることもあるかもしれませんが、それはご自身の歯を大切に思われているからこその、自然な感情と言えるでしょう。
また、周囲に相談しても「気にならない」と言われてしまい、お一人で孤独感や悩みを抱えてしまうケースも伺います。 ふとした瞬間に口元を隠したくなったり、写真に写る際に躊躇したりといった、ご本人にしか分からない切実なお気持ちがあるのも事実です。
「今の自分をもっと好きになりたい」という思いは、決してわがままではありません。 医学的な診断はもちろん大切ですが、治療を通じてどのような自分になりたいかというご自身の願いも、矯正を検討する上での大切な判断材料になると当院では考えています。
口ゴボで歯並びは良い場合の主な原因
なぜ歯並びが良いのに口元が出てしまうのか。原因は大きく分けて「骨格」と「歯の生え方」の2つに集約されます。
顎の骨格バランスによる口ゴボ(骨格性の口ゴボ)
歯そのものに問題がなくても、土台となる「顎の骨」の位置関係によって口ゴボに見えるケースです。
骨格性口ゴボの種類について
下顎後退型:下あごが上あごに比べて小さかったり、後ろに下がっていたりする状態。日本人に非常に多いタイプです。
上顎前突型:上あごの骨自体が前方へ成長しすぎている状態。
上顎前突+下顎後退:上が出ていて、かつ下が下がっている。最も口元の突出感が強く出やすいタイプです。
上下顎前突型:上下のあごが共に前方へ位置している。

歯の傾きやアーチの形による口ゴボ(歯性の口ゴボ)
骨格には大きな問題がないものの、歯の「生え方」に原因がある場合です。
歯のデコボコはないものの、歯列全体のアーチが前方へせり出していたり、前歯が「フレア(外向きに傾斜)」して生えていたりします。例えるなら、「整列して行進しているけれど、全員が前のめりに倒れかかっている」ような状態です。これにより、唇が押し上げられ、口ゴボとなります。
口呼吸や舌癖・唇の厚みなど軟組織と筋肉の影響
口呼吸や、舌が低い位置にある(低位舌)、指しゃぶりなどの癖は、顎の成長や歯の位置に少しずつ影響を与えます。これらの癖が原因で、徐々に口元が突出したり、口が閉じにくい状態につながったりすることがあります。
口ゴボでも歯並びは良いとき、矯正は必要?

「見た目だけの問題なら、我慢すべき?」と考える方も多いでしょう。ここでは医学的な必要性について解説します。
矯正で変えられる部分と変えにくい部分
矯正治療で主に変えられるのは「歯の位置」や「噛み合わせ」です。一方で、骨格そのものの極端な大きなズレや、唇そのものの厚み自体を劇的に変えることは困難です。しかし、骨格性の口ゴボであっても、歯の位置をミリ単位で調整することで、横顔のラインを整える「カモフラージュ治療」が可能なこともあります 。骨格のズレが非常に大きい場合は、外科矯正(手術を伴う矯正)が必要になる場合もあります。
口ゴボを放置したときの虫歯・顎関節・全身へのリスク
口ゴボ(口元の突出)があると、無意識に口呼吸になりやすくなります。口呼吸によってお口の中が乾燥すると、虫歯や歯周病のリスクが増加します。また、噛み合わせの不調から顎関節への負担が増えたり、それが頭痛や肩こりなど全身へ波及したりする可能性も指摘されています。もちろん、すべての人に起こるわけではありませんが、将来の健康を守るという側面も矯正治療にはあります。
口ゴボは自力で治せる?マッサージや筋トレでできること・できないこと
巷には「口ゴボを治すマッサージ」などの情報が溢れていますが、残念ながらマッサージや筋トレだけで、一度定着した骨格や歯の位置を大きく変えることはできません。ただし、口周りのトレーニング(MFT)によって口呼吸を減らしたり、舌の位置を整えたりすることは、これ以上の悪化を防ぎ、矯正後の後戻りを防止する意味で非常に役立ちます。
口ゴボでも歯並びは良い人の治療法と治療の選び方
「今の歯並びの美しさを損なわず、口元を下げたい(後退させたい)」という要望に応えるための主な治療法です。
ワイヤー矯正(表側・裏側)による口ゴボ改善

ワイヤー矯正は、歯の位置や角度を三次元的に細かくコントロールすることに長けています。
表側矯正:最も一般的で、幅広い症例に対応可能です。
裏側矯正:装置を歯の裏側に付けるため、誰にも気づかれずに治療を進められます。
特に抜歯を伴って前歯を大きく引っ込める必要がある「中等度以上の口ゴボ」には、ワイヤー矯正が適しているケースが多いです。
マウスピース矯正が向く口ゴボ・向かない口ゴボ

マウスピース矯正(インビザライン等)は、歯の傾きが原因の「歯性口ゴボ」の軽度から中等度の方に向いています。以前は「マウスピースでは口ゴボは治らない」と言われることもありましたが、現在は歯科医師の技術と経験が豊富であれば、ワイヤーと遜色ない結果を出せるケースも増えています。ただし、極端に大きな後退量が必要な骨格性の問題には不向きなこともあります。
外科矯正や他科との連携が必要になるケース
顎変形症など、骨格的なズレが非常に強い場合は、顎の位置そのものを手術で整える「外科矯正」が選択肢になります。手術の前後に矯正治療を行う流れとなりますが、保険適用での治療が可能になります 。
口ゴボで歯並びは良い人こそ知っておきたい矯正のリスクと注意点
「歯並びが良い」というプラスの状態からスタートするからこそ、慎重にならなければならないポイントがあります。
非抜歯矯正で口ゴボが悪化してしまうリスク

「歯を抜きたくない」という思いは誰もが持つものです。しかし、顎の大きさと歯の大きさのバランスが合っていない状態で無理に非抜歯矯正を行うと、歯を並べるためにアーチが前方に広がり、口元が余計に出てしまうリスクがあります。「歯を抜かないことが、必ずしも患者様に優しい治療とは限らない」という事実は、ぜひ知っておいていただきたい重要な点です。
矯正しても口ゴボが残る・思ったほど引っ込まない理由
骨格の問題が非常に強い場合や、唇のボリューム(厚み)が原因である場合、歯列矯正だけで得られる変化には限界があります 。 治療後に「思っていたのと違う」とならないためには、事前の精密検査に基づいた「予測される変化量」への正確な説明が不可欠です。
口ゴボで歯並びは良い人への当院の診断・治療の考え方
大阪市鶴見区の「鶴見ニコ矯正歯科」では、あなたの「今の歯並びの良さ」を尊重しつつ、理想の横顔を目指すために以下のことに取り組んでいます。
時間をかけたカウンセリングと精密検査

当院では、初診相談から診断説明まで、丁寧なヒアリングと精密検査を軸としています。横顔の写真撮影、デジタルレントゲンはもちろん、必要に応じてCT撮影や、矯正歯科診断の要である「セファロ(頭部エックス線規格写真)分析」を行います 。これにより、あなたの悩みが「歯性」「骨格性」「筋機能」のどこに原因があるのかを、客観的な数値で総合的に評価します。
装置の種類にとらわれない治療提案
「表側がいい」「目立たない裏側がいい」「マウスピースがいい」……患者様のライフスタイルやご希望は様々です。
当院では、一般的な表側矯正はもちろん、周囲に気づかれにくい裏側矯正、透明で取り外せるマウスピース矯正、そして気になる箇所を重点的に整える部分矯正など、多彩な選択肢をご用意しています。
私たちは、単に「装置が目立つかどうか」という見た目の好みだけで治療法を決定することはありません 。精密検査によって導き出された「口ゴボの根本的な原因」と、患者様が「最終的にどのような横顔になりたいか」というゴールを重視します。
これらを総合的に判断し、数ある装置の中から、あなたの状態に最も適し、かつ理想の結果を最短で引き出せる装置をプロの視点で厳選し、ご提案する方針をとっています。
顎変形症や難症例にも対応できる体制

院長は日本矯正歯科学会認定医としての高度な専門知識に加え、大学病院等での豊富な臨床経験を積み重ねてきました。これにより、通常の矯正治療では改善が困難な「骨格性の強い口ゴボ」や「顎変形症」などの治療も得意としています。外科矯正が必要なケースでは、大学病院等の医療機関と密に連携し、保険適用の可能性も含めたトータルなサポートを行います。
「他院で治療を断られた」という方も、矯正のスペシャリストとして真摯に向き合いますので、まずは一度ご相談ください。
よくある質問Q&A:歯並びは良いのに口ゴボな方からのご相談
Q.歯並びは良いのに口ゴボでも矯正は必要ですか?
A. 必ずしも全員に矯正が必要とは限りません 。当院では、見た目のコンプレックスの程度と、将来的な噛み合わせ・お口の健康への影響という「機能面」の両面から評価します。検査の結果、治療したほうがメリットが大きい場合もあれば、現状を維持して様子を見ても良いと判断する場合もあります。
Q.マウスピース矯正だけで口ゴボは治りますか?
A. 歯が原因の軽度から中等度のケースであれば、マウスピース矯正で十分に改善可能です。骨格性の強いケースや、前歯を大きく後ろに後退させる必要がある場合は不向きとされることもありますが、当院のように豊富な経験があれば、マウスピース矯正でも高い効果を得られる場合があります。まずは一度、お口の状態を見せてください。
Q.口ゴボ改善は何歳までにしておくのが良いですか?
A. 成長期であれば骨格の成長をコントロールできるメリットがありますが、成人期(20代〜50代)であっても、歯を動かすことによる改善は十分に可能です。ただし、年齢を重ねるほど歯周病のリスクなども考慮する必要があるため、気になった時が一番の始めどきと言えます。
Q.顎変形症や外科矯正が必要かどうかはどのように判断しますか?
A. 見た目の印象だけでは判断できません。レントゲンやセファロ分析の結果に加えて、噛み合わせのズレ、顎関節の機能面などを総合して判断します。不安な場合は、当院のような外科矯正(顎変形症)の知識と経験を持つ矯正専門医に相談することをおすすめします。
まとめ:口ゴボで歯並びは良いときも、一人で抱え込まず専門家へ相談を

「歯並びが良い」からこそ、自分の悩みを「贅沢」だと思って蓋をしてしまう方は少なくありません。しかし、横顔のバランスはあなたの笑顔の自信に直結する大切な要素です。
大阪市鶴見区の「鶴見ニコ矯正歯科」は、横堤駅からすぐの場所にあります。あなたの悩みが「歯」にあるのか「骨」にあるのか、まずはそれを知るだけでも、心のモヤモヤは晴れるはずです。
今の美しさを守り、さらに自信を持てる自分へ。私たちは、あなたのその勇気ある一歩を全力でサポートします。
監修歯科医師
小田垣 直弥
院長
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。


