裏側矯正ができない4つの症例|できない理由と対処法を歯科医師が解説
矯正コラム
2025.12.12
2025.12.12
裏側矯正に興味はあるものの、「自分の歯並びは裏側矯正ができない例に当てはまるのでは?」と不安に感じている方は少なくありません。過去に医院で裏側矯正を断られた経験があると、その理由が本当に歯や噛み合わせによるものなのか、医院ごとの方針なのかも気になるところだと思います。
実際には、裏側矯正には適用しにくい歯並びや噛み合わせがある一方で、医院の設備や体制、担当医の経験によって判断が分かれる部分もあります。同じ歯並びでも、ある医院では「できない」と言われ、別の矯正専門医院では「工夫すれば可能」と判断される場合もあります。
この記事では、まず裏側矯正の基本と特徴を整理したうえで、「本当に裏側矯正ができない例とされやすい症例」や、クリニック側の事情による「できない」の背景をわかりやすく解説していきます。さらに、裏側矯正が難しい場合に考えられるほかの矯正方法、可否を見極める診断の流れ、矯正専門医院としての考え方までを、一つずつ丁寧に整理してお伝えします。
「自分は本当に裏側矯正ができないのか」「ほかに合う方法はあるのか」を一緒に整理していくつもりで読んでいただければ幸いです。
目次
裏側矯正ができないケース|まず知っておきたい基本

「裏側矯正ができない症例」と聞くと、自分もその中に入ってしまうのではと心配になる方が多いと思います。
実際には、裏側矯正はほとんどの歯並びで検討できますが、噛み合わせがとても深い場合や歯の重なりが極端に強い場合など、難しくなりやすい条件があることも事実です。また、患者さん側の条件だけでなく、医院の体制や経験によって「当院では裏側矯正はできません」と言われる場合もあります。
まずは、裏側矯正そのものの仕組みや、選ばれやすいケース・注意が必要なケースの全体像を整理しておくことが大切です。
裏側矯正とは?表側矯正との違いを解説
裏側矯正は、歯の裏側(舌側と呼ばれる側)に小さな装置(ブラケット)とワイヤーを付けて歯を動かす矯正方法です。
一般的な表側矯正は、歯の表側に装置を付けるため、笑ったときや話すときに金属やワイヤーが見えやすくなります。
これに対して裏側矯正は、歯の裏側に装置が隠れるため、人からはほとんど気づかれにくいのが大きな特徴です。一方で、装置が舌に近い位置にあるため、治療の初期は少し発音しづらく感じたり、舌がこすれて違和感が出たりすることがあります。また、表側に比べて歯ブラシが届きにくい部分もあるため、丁寧にクリーニングしながら進めていくことが大切です。
裏側矯正が選ばれる理由と向いている人・治療しやすいケース
裏側矯正が選ばれやすい一番の理由は、「矯正中であることを周りに気づかれにくい」という点です。
接客業や営業職、講師業など、人前で話す機会が多いお仕事の方は、表情や口元の印象を大切にされることが多く、裏側矯正を希望される傾向があります。大学生や就活中の方、ブライダルに向けて前歯の出っ張りを目立たせずに整えたいというご相談もよくあります。
一般的には、軽度から中等度のガタガタや前歯の出っ張りで、顎の骨格に大きなズレがないケースでは、裏側矯正で治療計画を立てやすいことが多いです。ただし、「必ず向いている」「絶対に裏側矯正がベスト」ということではなく、精密検査で骨格や噛み合わせを詳しく確認しながら、その方の生活スタイルやご希望も含めて判断していきます。
裏側矯正に向いていない人・注意が必要なケース
一方で、「裏側矯正ができない例」とされやすい条件もあります。
たとえば、歯の重なりが非常に強い重度のガタガタや、噛み合わせが深く下の前歯がほとんど見えない過蓋咬合では、歯の裏側に装置を付けるスペースが少なかったり、噛む力が装置に強く当たって外れやすくなったりすることがあります。
また、顎の骨格に大きなズレがあるケースや、進行した歯周病で歯を支える骨が大きく減っている場合も、裏側矯正だけで無理をすると歯への負担が大きくなってしまうことがあります。
さらに、舌がとても大きい方やお口の中のスペースが極端に少ない方は、装置が常に舌に触れて滑舌や食事に大きな影響が出ることもあります。
ただし、これらは「絶対に無理」という線引きではなく、条件が強いほど裏側矯正の難易度が上がりやすいというイメージです。自己判断であきらめてしまうのではなく、専門的な検査を受けて相談していただくことが大切です。
「裏側矯正ができない例」という言葉だけに振り回されないために
インターネットで「裏側矯正ができない例」について目にすると、「自分もきっと無理なのだろう」と感じてしまう方も多いと思います。しかし、そこで紹介されている「できない例」の中には、実際には患者さん側の条件だけでなく、医院側の体制や経験による判断が含まれていることも少なくありません。
たとえば、その医院が裏側矯正の装置を導入していない場合や、対応できる症例をかなり限定している場合、「この歯並びだから不可能」というよりも、「この医院の環境では慎重にすべき」という意味で「できない」と説明されることがあります。また、医学的には裏側矯正も選択肢に入るものの、他の方法のほうが安全で負担が少ないと判断されるケースもあります。
大切なのは、「自分は裏側矯正が無理」と決めつけてしまう前に、きちんと精密検査とカウンセリングを受けることです。
本当に裏側矯正ができない例とは?代表的なケース

裏側矯正には、「少し工夫すれば対応できるケース」と「現実的には避けたほうがよいケース」があります。とくに、歯の重なりやねじれが極端に強い場合、噛み合わせが深い場合、歯周病が進行している場合、舌が大きくお口の中のスペースがとても少ない場合などは、裏側矯正では難易度が高くなることが多いです。
ただし、その線引きは医院の考え方や装置の種類、担当医の経験によっても変わります。ここでは、一般的に「裏側矯正ができない例」とされやすい代表的なケースを取り上げ、その背景と考えられる代替案について整理していきます。
裏側矯正ができない例1:歯の重なり・ねじれが極端に強いケース
歯と歯が大きく重なっていたり、強くねじれていたりする「重度の叢生(そうせい)」では、歯の裏側に装置を貼るための平らな面がほとんど残っていないことがあります。
裏側矯正は、裏側にブラケットという小さなパーツをしっかり固定し、ワイヤーで少しずつ歯を動かしていく治療です。ところが、重なりが極端に強いと、ブラケットを付ける位置が確保できなかったり、噛んだ衝撃で装置が外れやすくなったり、ワイヤーの通し方が複雑になって治療が長期化しやすいといった問題が生じます。
一方、軽度から中等度のガタガタであれば、裏側矯正でも対応できることが少なくありません。「どこからが重度か」「どこまでなら可能か」は、医院の方針や採用している装置によって変わるため、気になる方は自己判断せず、裏側矯正に詳しい矯正専門医へ相談することが大切です。
裏側矯正ができない例2:過度な過蓋咬合など噛み合わせの問題
噛み合わせがとても深く、上の前歯が下の前歯を大きく覆ってしまう「過蓋咬合(かがいこうごう)」では、裏側矯正の装置に下の歯が強く当たりやすくなります。上の歯の裏側にブラケットを付けても、噛んだ瞬間に下の歯が直接触れてしまうことで、装置が外れたり壊れたりするリスクが高まるのです。
噛み合わせの深さや骨格の状態によっては、表側矯正や別の方法を優先した方が安全で、結果的に歯への負担も少ないことがあります。
その他、噛み合わせに大きな問題がある場合は、裏側矯正が適応外となるケースは少なくありません。
過蓋咬合(深い噛み合わせ)の場合に注意したい点
過蓋咬合では、口を閉じたときに上の前歯が下の前歯を深く覆い、下の前歯がほとんど見えない状態になっていることが多く、上の歯の裏側に付けた装置に下の歯が押し付けられるような力がかかります。その結果、ブラケットが外れたり、ワイヤーが変形したりしやすくなり、裏側矯正が安定して進めにくくなるのです。
対策としては、奥歯のかみ合わせを一時的に高くして前歯同士が当たりにくくする「バイトアップ」などの方法がありますが、どの程度までなら対応可能かは噛み合わせの深さや骨格によって変わります。過蓋咬合の方が裏側矯正を希望される場合は、こうしたリスクと対処法について事前にしっかり説明を受けたうえで、治療方法を選ぶことが重要です。
外科矯正が必要な顎変形症の場合
顎の骨格そのものに大きなズレがある「顎変形症(がくへんけいしょう)」では、歯だけでなく骨の位置関係を整えるために、外科手術を併用した矯正治療が必要になることがあります。
こうしたケースでは、手術前後でどのように歯を動かすか、どの位置にどの装置を付けるかを、矯正専門医と口腔外科医が綿密に相談しながら計画していきます。骨格的な問題が大きいほど、裏側矯正を選ぶかどうかは、手術方法や治療期間、仕上がりの安定性などを総合的に考える必要があります。
裏側矯正ができない例3:歯周病や歯の大きさなど歯そのものの条件
裏側矯正の可否は、歯並びや噛み合わせだけでなく、歯や歯ぐきそのものの健康状態にも大きく影響を受けます。
中等度以上の歯周病で、歯を支える骨が大きく減っている場合、歯を動かす力に歯ぐきが耐えられず、動揺や炎症が進んでしまうおそれがあります。また、歯の形がとても小さい、歯の裏側が鋭くえぐれているなど、ブラケットを安定して付けられる面がほとんどない場合も、裏側矯正では装置が外れやすくなるため注意が必要です。
まずは歯周病の治療やむし歯の処置を優先し、歯を守ることを土台にしたうえで、どの矯正方法が安全かを検討していきます。その結果、表側矯正やマウスピース矯正など別の方法の方が、歯への負担を抑えつつ良い結果につながると判断されることもあります。
リスクとメリットの両方を理解しながら方法を選んでいくことが大切です。
裏側矯正ができない例4:舌の大きさやお口のスペースの問題
舌が比較的大きい方や、歯列が極端に狭くお口の中のスペースが少ない方では、裏側の装置が常に舌に触れやすくなります。その結果、話すたびに舌が装置に当たって滑舌が不自然に感じられたり、食事のときに噛みにくさや違和感が強く出たりすることがあります。
治療そのものは裏側矯正で進めることが理論上可能でも、日常生活でのストレスが大きくなり過ぎると、装置を付けている期間がつらく感じられ、途中で挫折してしまうリスクも高まります。
こうした場合には、表側矯正やマウスピース矯正など、舌側の空間をあまり圧迫しない方法のほうが現実的で、生活とのバランスも取りやすいことがあります。「できるかどうか」だけでなく、「続けられるか」「普段の生活にどんな影響があるか」という視点を持つことで、ご自身に合った治療方法が見えやすくなります。
「当院では出来ない」と言われる理由とクリニック側の事情

裏側矯正について相談したとき、「当院では出来ない(対応していない)治療です」と説明されると、「自分の歯並びが悪いからなのだろうか」と落ち込んでしまう方も少なくありません。けれど実際には、歯並びや噛み合わせそのものの問題だけでなく、その医院が裏側矯正の装置を導入しているか、担当医がどこまでの症例を担当しているかといった「クリニック側の事情」が影響していることも多くあります。
ここでは、医院が裏側矯正を取り扱っていない場合や、技術・装置の制限から「できない」と判断される場合、そしてセカンドオピニオンで選択肢が広がる可能性について整理します。
医院が裏側矯正を取り扱っていないケース
まず知っておきたいのは、「当院では裏側矯正はできません」という説明が、必ずしも「あなたの歯並びでは不可能です」という意味ではないということです。
医院によっては、裏側矯正用の装置や技工システムを導入していなかったり、担当医が裏側矯正のトレーニングを受けておらず、安全に対応できる自信が持てない場合があります。そのようなとき、無理に治療を引き受けてトラブルになるのを避けるため、「表側矯正やマウスピース矯正のみ対応しています」と案内している医院も少なくありません。
この場合、「この医院の体制では難しい」という意味合いが強く、歯並びそのものについての最終的な評価とは限りません。一度「できない」と言われても、裏側矯正に対応している矯正専門医院であれば、また違った提案が得られる可能性があります。
技術や装置の制限による「この症例で裏側矯正はできない」という判断
裏側矯正は、表側矯正と比べて歯の裏側での作業になるため視野が狭く、装置の取り扱いも難しい治療法です。そのため、同じ裏側矯正でも、使用している装置の種類や、担当医がどの程度の症例まで経験しているかによって、「対応できる」と判断する範囲が変わってきます。
医院によっては、軽度〜中等度までに対象を絞り、それ以上の難易度の症例ではトラブルを避けるために「裏側矯正より別の方法をおすすめします」とお伝えしていることもあります。一方で、裏側矯正や外科矯正を多く扱っている矯正専門医院では、より幅広いケースで裏側矯正を含めた治療計画を検討できる場合もあります。
本当に不可能なのか?セカンドオピニオンで変わる裏側矯正の可能性
最初の医院で「裏側矯正は難しい」と言われると、その一言だけで矯正治療そのものを諦めてしまいそうになるかもしれません。しかし、精密検査の仕方や治療方針、装置の選び方が変われば、別の医院では「工夫すれば裏側矯正も選択肢に入ります」と判断されるケースもあります。
逆に、改めて骨格や歯ぐきの状態を詳しく確認した結果、長い目で見ると表側矯正やマウスピース矯正の方が負担が少なく、歯の寿命や噛む機能の面で安心だとわかることもあります。
鶴見ニコ矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医2名によるダブルドクター体制で、顎変形症などの難症例も含めて、まずは精密検査にもとづき治療の可能性を一緒に検討していきます。「一度他院で断られたから終わり」ではなく、「納得できる説明を聞いてから決める」という姿勢で、セカンドオピニオンを活用していただければと思います。
裏側矯正ができない場合に考えたい治療の選択肢

裏側矯正が「難しい」「できないかもしれない」と言われても、矯正治療そのものを諦めなければならないわけではありません。
表側矯正やマウスピース矯正、部分矯正、ハーフリンガル矯正など、見た目や負担のバランスを取りながら歯並びや噛み合わせを整えていく方法はいくつかあります。
ここでは、裏側矯正が難しいケースで検討されやすい治療方法と、それぞれの特徴・向きやすい症例・費用や治療期間のイメージ、そしてどの方法にも共通する「保定」の大切さについて説明します。
表側矯正で対応した方がよいケース
重度のガタガタや骨格的なズレが大きい場合など、歯を大きく動かす必要があるケースでは、装置を歯の表側に付ける「表側矯正」を優先した方がよいことがあります。
表側矯正は、歯の表側にブラケットとワイヤーを装着するため視野が広く、力のコントロールがしやすいという特徴があります。対応できる症例の幅が広く、裏側矯正と比べて装置が壊れにくい点も、長い治療期間を見据えるうえで安心材料になります。
また、費用面でも裏側矯正より抑えやすいことが多いです。「表側=金属で目立つ」というイメージがあるかもしれませんが、白いブラケットや目立ちにくいワイヤーを使うことで、従来より口元の印象に配慮した治療も可能になっています。
マウスピース矯正や部分矯正で代替できるケース
裏側矯正が難しい場合でも、「歯並びの乱れが軽度〜中等度」「前歯の見た目を中心に整えたい」といった条件がそろえば、透明な装置を用いるマウスピース矯正が選択肢になることがあります。
マウスピース矯正は、薄く透明な装置を歯にかぶせて少しずつ動かしていく方法で、装着中も目立ちにくく、食事や歯みがきの際に取り外せる点が特徴です。その一方で、効果をきちんと出すためには、1日あたりの装着時間を自分で守る自己管理がとても大切になります。
また、「前歯だけ気になる」「この部分だけを整えたい」という限定的なお悩みの場合には、一部の歯に装置を付ける部分矯正で対応できるケースもあります。ただし、部分的に歯を動かす場合でも、噛み合わせ全体への影響を考える専門的な判断が欠かせません。
表側×裏側のハーフリンガルやインプラントアンカーを使うケース
「見た目はできるだけ目立たせたくないけれど、全部を裏側にするのは難しい」といった場合には、装置を組み合わせる方法もあります。たとえば、上の歯は裏側、下の歯は表側に装置を付ける「ハーフリンガル矯正」は、笑ったときに見えやすい上の前歯を目立たせずに治療しつつ、下の歯は表側で動かしやすさを優先する考え方です。
また、インプラントアンカーと呼ばれる小さなネジを一時的に顎の骨に固定し、そこを支点にして歯を効率よく動かす方法を組み合わせることで、難しい歯の移動をより安定して行える場合もあります。全部を裏側にできなくても、「どこをどこまで隠したいか」「どのくらい通院できるか」といった希望を率直に伝えていただくことで、見た目と治療のしやすさのバランスを一緒に考えやすくなります。
裏側矯正ができない場合の費用・治療期間の目安
一般的に、同じような歯並びを治療する場合、裏側矯正は他の方法より費用が高くなる傾向があります。そのため、「裏側矯正ができない例」と診断されて別の方法を選ぶ場合、多くは裏側矯正よりも費用を抑えやすくなります。
表側矯正は、対応できる症例の幅が広い一方で、裏側矯正より費用が低めに設定されていることが多く、治療期間もやや短く済む場合が多いです。
マウスピース矯正も同様に、難易度や装置の種類によって費用・期間の幅は大きいですが、裏側居いう性よりも安くて早いケースが多いです。
部分矯正は対象となる歯が少ない分、比較的短期間かつ費用も抑えやすい傾向があります。
ハーフリンガル矯正は、表側と裏側の中間くらいの費用感になることが一般的です。
実際の費用と期間は、歯並びの状態や保険適用の有無、使用する装置によって大きく変わります。当院のカウンセリングでは、治療方法ごとのお見積もりとおおよそのスケジュールを個別にお伝えし、無理のない計画をご相談いただけるようにしています。
どの矯正方法でも大切な「保定」と後戻りのリスク
裏側矯正かどうかに関わらず、矯正治療で整えた歯並びを長く保つためには「保定期間」がとても大切です。
歯は、動かした直後はまだ周囲の骨や歯ぐきが安定しておらず、そのままにしておくと元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こりやすい状態です。そのため、治療後にはリテーナーと呼ばれる保定装置を一定期間使用し、歯の周囲の組織が落ち着くまでしっかり支えてあげる必要があります。
リテーナーの種類や使用時間、保定期間の目安は、選んだ治療方法や歯並びによって少しずつ異なりますが、「せっかく整えた歯並びを守るための仕上げの治療」と考えていただくとよいと思います。
当院では、矯正を始める前の段階から保定や後戻りのリスクについてもお話しし、治療後のライフステージまで見据えて安心して通っていただけるようサポートしています。
裏側矯正の可否を見極める診断の流れ

自分が本当に「裏側矯正ができない例」に当てはまるのかどうかは、見た目だけでは判断できません。骨格のバランスや噛み合わせの深さ、歯や歯ぐきの状態など、いくつかの条件を総合的に評価する必要があります。
ここでは、診断の具体的な流れと、検査やカウンセリングでどのような点が確認されるのかをわかりやすくご紹介します。
精密検査でチェックする骨格・噛み合わせ・歯の条件
裏側矯正が適しているかどうかを判断するためには、まずレントゲン写真で顎の骨や歯根の状態を確認します。
横顔の骨格バランスを調べる「セファロ分析」では、上顎と下顎の位置関係や、口元の突出感、噛み合わせの深さなどを数値として評価します。さらに、お口全体の写真や型どり、口腔内スキャナーによるデジタル模型を用いて、歯の傾きや重なり方、歯の大きさ、歯ぐきの状態まで詳しくチェックしていきます。
こうした情報を組み合わせることで、「裏側矯正で無理なく動かせる範囲なのか」「表側矯正やマウスピース矯正の方が歯への負担が少ないのか」を具体的に検討できます。
ライフスタイル・ご予算も含めたカウンセリング
診断では、お口の状態だけでなく、日々の生活やご予算について伺うこともとても重要です。
たとえば、人前で話す機会が多いかどうか、管楽器や歌など口元を使う趣味があるか、スポーツでマウスピースを使うか、妊娠や出産のご予定があるかといった点は、裏側矯正を含む装置選びに大きく関わります。
また、治療にかけられる総額や月々の支払いイメージも、現実的な治療計画を立てるうえで欠かせない要素です。裏側矯正が物理的には可能でも、通院頻度や費用、治療期間を踏まえて別の方法を選んだ方が、負担が少なく続けやすい場合もあります。
鶴見ニコ矯正歯科では、検査結果とライフスタイル・ご希望を一つずつ整理しながら、複数の選択肢の中から一緒に治療ゴールを決めていくことを大切にしています。
矯正治療で当院が大切にしていること

「裏側矯正ができないケースです」と言われたとき、本当に無理なのか、それとも別の視点から見れば可能性があるのかは、医院の体制や考え方によっても変わります。
大切なのは、裏側矯正だけにこだわるのではなく、その方の骨格・噛み合わせ・ライフスタイル・気持ちまで含めてトータルに考え、信頼できる計画を一緒に立てていくことです。
鶴見ニコ矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医によるダブルドクター体制と複数の装置の選択肢を活かし、見た目だけでなく機能や歯の寿命も見据えた治療を大切にしています。
日本矯正歯科学会認定医のダブルドクター体制で難症例にも対応
鶴見ニコ矯正歯科では、院長・副院長ともに日本矯正歯科学会認定医であり、大学病院での臨床と研究を重ねてきた矯正専門医が診療を担当しています。二人の専門医が協力するダブルドクター体制により、顎変形症や骨格的なズレを伴う症例、保険適用の外科矯正まで含めて、精密な診断と治療計画を検討できるのが特徴です。
他院で「裏側矯正は難しい」と言われたケースでも、まずはレントゲンやセファロ分析などの結果を丁寧に確認し、本当に避けるべきなのか、別の組み合わせであれば可能性があるのかを一緒に整理していきます。
「何としても裏側矯正にしましょう」と無理に勧めるのではなく、長く快適に噛めることを第一に考えたうえで選択肢をご提案することを心がけています。
裏側矯正・マウスピース・表側矯正からのオーダーメイド提案
装置の種類は一つに決め打ちせず、裏側矯正(フル・ハーフリンガル)、マウスピース矯正、表側ワイヤー矯正(セラミックブラケットなど)、部分矯正、インプラントアンカー併用など、いくつかの選択肢を並べて検討していきます。
たとえば、人前に出る機会が多い方には見た目を重視したプランを、治療のしやすさや費用のバランスを優先したい方には表側矯正中心のプランを、といった具合に、優先したいポイントを一緒に整理しながら決めていくイメージです。
それぞれの方法のメリットだけでなく、通院頻度、痛みの出方、リスクや限界も含めて率直にお伝えし、患者さんご自身が納得して選べることを大切にしています。
見た目だけでなく機能と歯の寿命まで見据えた治療計画
矯正治療は、歯をきれいに並べることがゴールではありません。しっかり噛めること、発音がしやすいこと、歯みがきがしやすくむし歯や歯周病を予防しやすいこと、横顔のバランスが整い自己肯定感が高まることなど、生活の質や将来の歯の寿命にも関わる大切な治療です。
そのため、裏側矯正が可能かどうかだけで判断するのではなく、「この先何十年と使っていく歯にとって、どの方法が負担が少なく、機能と審美性のバランスが良いか」を一緒に考えていきます。
検査結果とカウンセリングを通して、患者さん一人ひとりの価値観に寄り添いながら、無理のないペースで前向きに進められる治療計画を立てることを心がけています。
まとめ:裏側矯正ができない例と診断された方へ

「裏側矯正ができないケースです」と言われる背景には、歯の重なりや深い噛み合わせ、顎の骨格、歯周病や歯の形、舌やお口のスペースといった医学的な条件が関わる場合と、医院が裏側矯正の装置や体制を整えていない・対応する症例を限定しているといったクリニック側の事情が含まれる場合があります。
ただ「できない」と聞いただけでは、そのどちらによる判断なのかまでは分かりにくいことも少なくありません。
一方で、裏側矯正が難しいケースでも、表側矯正やマウスピース矯正、部分矯正、ハーフリンガル矯正、インプラントアンカー併用など、歯並びや噛み合わせを整えるための選択肢は幅広くあります。大切なのは、「裏側矯正かどうか」だけにとらわれず、ご自身の骨格や噛み合わせ、ライフスタイル、費用面を総合して、無理のない方法を一緒に選んでいくことです。
「自分は本当に裏側矯正ができないのか知りたい」「ほかの方法も含めて最適な治療を考えたい」というお気持ちがあれば、精密検査とカウンセリングで現状を丁寧に整理していくことをおすすめします。
鶴見ニコ矯正歯科では、裏側矯正・表側矯正・マウスピース矯正など複数の選択肢の中から、メリットと注意点をわかりやすくお伝えしながら、一人ひとりに合った治療計画を一緒に検討しています。お電話やWEBフォームから、どうぞお気軽に相談・カウンセリングのご予約をご検討ください。
監修歯科医師
小田垣 直弥
院長
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。
裏側矯正や口ゴボの改善を得意とする矯正歯科医として、一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。


