デンタルモニタリングとは|スマホで通院回数を減らせる矯正治療
矯正コラム
2026.07.07
2026.07.07
矯正治療は、装置を付けてから外すまで年単位でお付き合いいただく治療です。
そのあいだ
- 毎回の通院が負担
- 忙しくて予約の時間が取りにくい
- 遠方なので通うのが大変
と感じる方は少なくありません。せっかく治療を始めても、通院が続けにくいことが負担になってしまうのは避けたいところです。
当院では、こうしたお悩みに対応するために デンタルモニタリング(Dental Monitoring) を導入しています。スマートフォンを使って、ご自宅にいながら歯の動きを担当医がチェックできる仕組みです。通院の回数をおさえながらも、治療の質はしっかり保つことを目的としています。
このコラムでは、すでに当院から案内資料をお受け取りになった方にも、これから矯正をお考えの方にもわかるように、デンタルモニタリングの仕組み・具体的な使い方・メリット・当院での運用について、くわしくご説明します。
目次
デンタルモニタリングとは
デンタルモニタリングは、スマートフォンと専用デバイスを使ってお口の中を撮影し、矯正治療の進み具合を遠隔で確認できるシステムです。フランスで開発され、世界中の矯正歯科で使われています。
撮影された画像はAI(人工知能)で解析され、その結果を当院の歯科医師・スタッフが確認します。問題がなければ「この調子で進めてください」、気になる点があれば「ここを確認しましょう」といったフィードバックが、アプリを通じて届きます。最終的な診断・判断を行うのはあくまで担当の歯科医師であり、AIはその確認を助ける役割を担います。
つまり、来院していない期間も、担当医が継続的にお口の状態を見守れるということです。従来は「来院したときだけ」のチェックだったものが、ご自宅からの定期的な撮影によって、より細やかに確認できるようになります。スマートフォンの写真から歯の位置を立体的にとらえて変化を把握できるため、わずかな動きの違いにも気づきやすくなります。

デンタルモニタリングで確認できること
ご自宅からの撮影で、担当医は次のような点を確認しています。来院時の診察に近いチェックを、離れていても行えるイメージです。
- 歯の動き・移動量:計画どおりに歯が動いているか、動きが遅れていないかを確認します。
- 装置の状態:ワイヤー矯正ではブラケットやアタッチメントの脱離、マウスピース矯正では装置の適合(浮きやズレがないか)を確認します。
- 口腔内の衛生状態:みがき残しや歯ぐきの状態など、むし歯・歯肉炎につながりやすいサインを早めに把握します。
これらを定期的に確認できることで、トラブルの「気づき」が早くなり、必要な対応を適切なタイミングで取りやすくなります。
ご自宅での流れ ― たった3ステップ
患者さんにしていただくのは、次の3ステップだけです。
ステップ1:自宅で撮影する
専用のスキャンデバイスをスマートフォンに取り付け、アプリの音声ガイドに沿ってお口の中を撮影します。ガイドが順番に指示してくれるので、慣れれば数分で完了します。
ステップ2:AI解析と歯科医師の確認
送信された画像をAIが解析し、最終的に歯科医師が確認・判断します。
ステップ3:アプリに結果が届く
解析結果や担当医からのコメントが、アプリのチャット機能に届きます。歯並びの変化もご自身のスマートフォンで確認できます。
撮影はアプリが手順を案内してくれるため、特別な知識は必要ありません。撮影の練習機能(テストスキャン)や解説動画も用意されているので、初めての方でも安心してお使いいただけます。

スキャン撮影の手順をもう少しくわしく
「自分でうまく撮れるか不安」という方のために、撮影の流れをもう少しくわしくご紹介します。
準備するもの
- スキャンボックスプロ(スマートフォンを固定する専用デバイス)
- チークリトラクターチューブ(頬を広げて口の中を写しやすくする開口チューブ)
- スマートフォン、鏡(洗面所がおすすめ)、ティッシュなど
撮影の流れ
アプリのホーム画面で「スキャンを開始する」を押し、スマートフォンをスキャンボックスにセットします。あとは音声ガイドに従い、奥歯で噛んだ状態で左右に動かす・少し口を開けて撮る・噛む面(咬合面)を撮るといったステップを順番に進めるだけです。肩と腕を使って大きく動かすと、奥歯までしっかり写せます。
撮影後の確認と送信
撮影が終わると、ステップごとに画像をレビューする画面が表示されます。条件を満たしていない箇所はAIが赤色で知らせてくれるので、その場合は同じステップをやり直します。問題がなければ「スキャンを送信」を押してアップロードします。「スキャン解析中」と表示されるまではアプリを閉じないでください。
結果が届くまでの目安
解析の結果がアプリに届くまでの目安は、マウスピース(アライナー)の症例で12時間以内、ワイヤー(ブラケット)の症例で48時間以内です。結果が届くまでは、現在の装置の使用をそのまま続けていただきます。
撮影前のちょっとしたコツ
- スマートフォンの充電は60%以上にしておく
- マナーモード・消音を解除する(音声ガイドが流れるため)
- 分厚いスマホケースは外す
- アプリのプッシュ通知はオンにし、アプリは最新の状態にしておく

デンタルモニタリングで通院回数を減らせる理由
矯正治療で定期的に来院いただく主な目的は、お口の状態を確認し、必要に応じて装置の調整を行うことです。このうち装置の調整など手を加える処置は来院が必要ですが、「状態の確認」はご自宅からの撮影でも行えます。
デンタルモニタリングでは、装置の不具合や歯の動きの遅れなどをアプリ越しに早期に把握できるため、実際にご来院いただくのは、調整や直接の処置が必要なタイミングに絞ることができます。 決まった間隔で機械的に通院するのではなく、「臨床的に必要なときに来ていただく」考え方に近づきます。
その結果、来院の間隔をこれまでより空けられるようになります。撮影の頻度は治療内容によって異なり、目安は次のとおりです。
| 治療の種類 | 撮影の頻度の目安 | 通院間隔の目安(変化の一例) |
| マウスピース矯正 | マウスピース交換ごと(10日に1回など) | 2〜3か月ごと → 5〜10か月ごと |
| ワイヤー矯正 | 2週間に1回 | 月1回ごと → 約2か月ごと |
| 保定(リテーナー)期間 | 月に1回 | 必要に応じて |
※あくまで一例で、通院間隔は治療の進行状況や歯の動きによって前後します。
※装置の調整や直接の診察が必要な場合は、その都度ご来院いただきます。
撮影のタイミングにもポイントがあります。マウスピース矯正では次のマウスピースへ交換する直前(前日の夜がおすすめ)に、ワイヤー矯正では2週間に1回ほどのペースで撮影します。適切なタイミングで撮ることで、より正確に経過を確認できます。
通院回数が減っても治療期間は延びない?
「来院が減ると、治療が遅くなるのでは?」というご心配をいただくことがあります。結論として、デンタルモニタリングによって通院間隔が空いても、指示通り器具を使用できていれば治療期間が延びることはありません。
理由は、来院の回数が減る一方で、お口の状態を確認する頻度はむしろ増えるからです。月に1回の来院チェックに代わって、週1回ほどの撮影で状態を継続的に把握できます。装置の脱離や歯の動きの遅れといった「治療を遅らせる原因」を早い段階で見つけられるため、対応が後手に回りにくくなります。
一方で、マウスピース矯正では装置を決められた時間きちんと装着できているかが、治療がスムーズに進むかどうかを大きく左右します。デンタルモニタリングは、こうした日々の使用状況も含めて見守る仕組みです。「担当医がいつも見てくれている」という意識が、装置の装着やお手入れを続ける後押しにもなります。
来院は「必要なときに、適切なタイミングで」行うことになり、治療そのものは予定どおり進められます。

当院でデンタルモニタリングを使うメリット
1. ワイヤー矯正(デーモンシステム)との相性が良い
当院のワイヤー矯正では、セルフライゲーションシステムであるデーモンシステムを採用しています。摩擦の少ない構造で弱い力でも歯がスムーズに動くため、もともと 約8週間(約2か月)に1度を基本とした来院間隔 で治療を進められる装置です。
この特長とデンタルモニタリングを組み合わせることで、来院間隔をより柔軟に設定しやすくなります。装置そのものの利点と、遠隔での見守りの両方を活かせるのが当院ならではのポイントです。
2. デンタルモニタリングの利用に追加費用はかかりません
デンタルモニタリングの利用にあたり、患者さんへの追加費用はいただきません。
さらに、当院では来院ごとに管理料・観察料を頂戴していますが、通院回数が減るぶん、この管理料・観察料の総額が少なくなり、結果として治療にかかる費用がおさえられます。 便利になることでかえって費用が下がる、という点は導入のメリットのひとつです。
3. トラブルを早期に見つけ、対応できる
ブラケットやアタッチメントの脱離、マウスピースの不適合などは、放置すると治療の遅れにつながります。デンタルモニタリングなら、来院を待たずにアプリ上で気づけるため、必要に応じて早めにご連絡し、来院のご案内や対処を行えます。
4. 治療経過を「見える化」できる
アプリの「進捗状況を見る」機能では、治療開始時と現在の歯並びを並べて比較できます。自分の歯がどれだけ動いたかを目で確かめられるため、治療を続けるモチベーションにつながります。お子さまの場合は、ご家族と一緒に変化を確認することもできます。
5. 「見守られている」安心感
離れていても担当医が継続的にお口の状態を確認しているため、「次の来院まで何もわからない」という不安が軽くなります。気になることがあれば、アプリのチャットからいつでも当院にメッセージを送っていただけます。
こんな方におすすめです
- 仕事や学校、家事・育児で忙しく、来院の時間を取りにくい方
- できるだけ通院回数をおさえて、効率よく矯正治療を受けたい方
- 引っ越しや出張などで、定期的な通院に不安がある方
- ご自身の歯の動きを、ご自宅でも確認しながら治療を進めたい方
- お子さまの矯正で、学校や習い事の合間の通院を少しでも減らしたい保護者の方
大阪市外・全国からの通院にデンタルモニタリングがおすすめな理由
当院には、大阪市内だけでなく、市外や他府県から通院される患者さんもいらっしゃいます。
遠方からの通院では、診療時間そのものよりも、移動時間や交通費の負担が大きくなりがちです。そのため、「できるだけ通院回数をおさえながら治療を進めたい」とお考えの方も少なくありません。
デンタルモニタリングでは、ご自宅から定期的にお口の状態を確認できるため、来院していない期間も歯の動きや装置の状態を継続的に見守ることができます。その結果、必要な処置や調整が必要なタイミングでご来院いただくことが可能になり、通院の負担軽減につながります。
もちろん、精密検査や装置の装着・調整など、直接お口を診る必要がある工程ではご来院が必要です。しかし、来院していない期間も状態を確認できることで、遠方の方でも安心して治療を続けやすくなります。
「遠方だから矯正治療は難しいかもしれない」とお考えの方にも、ぜひ知っていただきたい選択肢のひとつです。

よくあるご質問
Q. スマートフォンがあれば誰でも使えますか?
A. 対応するスマートフォンであればお使いいただけます。一部の機種では、撮影用に別売りのアダプター(無料配布の対象となる場合があります)が必要になることがあります。お使いの機種については、初診相談やカウンセリングの際にご確認いただけます。
Q. 撮影は難しくありませんか?
A. アプリの音声ガイドが手順を案内するため、特別な知識は必要ありません。初回はスタッフが一緒に練習しますし、ご自宅でも練習用の「テストスキャン」機能を使えます。
Q. 子どもでも使えますか?
A. はい。ご本人での撮影が難しい場合は、保護者の方が撮影する設定もご用意しています。お子さまの治療でもご利用いただけます。
Q. すでに治療中ですが、途中から始められますか?
A. 可能です。新しく治療を始める方も、すでに治療中の方も対象です。ワイヤー矯正・マウスピース矯正のどちらにも対応しています。
Q. 保定(リテーナー)期間も使えますか?
A. はい。装置が外れたあとの後戻りの確認にも活用でき、保定期間の見守りにも役立ちます。
Q. 痛みや異常があったときはどうすればよいですか?
A. アプリのチャット機能から当院にご連絡いただけます。内容を確認し、必要に応じてご来院のご案内をします(歯科医院の診療時間によってお返事までお時間をいただく場合があります)。
Q. 追加の費用はかかりますか?
A. デンタルモニタリングの利用に、患者さんへの追加費用はいただきません。むしろ通院回数が減るぶん、来院ごとの管理料・観察料の総額が少なくなります。
ご利用にあたっての注意点
- デンタルモニタリングのご利用には、対応するスマートフォンが必要です(一部の機種では別売りのアダプターが必要になる場合があります)。
- 撮影は患者さんご自身(またはご家族)に行っていただきます。アプリが手順を案内します。
- 画像の送信には通信環境が必要です。撮影と送信にご協力いただくことが前提となります。
- 顎変形症(外科的矯正治療)の患者さんは対象外となります。
- すべての通院をなくすものではありません。装置の調整や直接の診察が必要な場合は、適宜ご来院いただきます。
まとめ
デンタルモニタリングは、スマートフォンでお口の中を撮影し、ご自宅にいながら担当医が治療の進み具合を確認できるシステムです。
- 来院していない期間も継続的に状態を確認できる
- 通院間隔を空けても、指示どおりに装置を使えていれば治療期間には影響しない
- 当院のデーモンシステムと相性が良く、来院間隔を柔軟に設定しやすい
- トラブルを早期に見つけて対応でき、治療経過もアプリで見える化できる
- 利用に追加費用はかからず、管理料・観察料の総額が減るぶん費用はむしろおさえられる
「忙しくて通院が大変」「遠方だけれど、しっかり診てもらいながら治療を進めたい」という方にこそ、活用していただきたい仕組みです。ぜひ一度ご相談ください。
矯正治療やデンタルモニタリングについて気になることがございましたら、初診相談またはお電話(06-6912-2888)よりお気軽にお問い合わせください。遠方の方にはオンラインでのご相談も承っております。
監修歯科医師
小田垣 直弥
院長
マウスピース矯正や裏側矯正、口ゴボの改善などの難症例を得意としています。矯正歯科医として、患者様一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。
マウスピース矯正や裏側矯正、口ゴボの改善などの難症例を得意としています。矯正歯科医として、患者様一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。


