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下顎後退を伴う口ゴボを、抜歯矯正で自然な口元に改善した症例(表側ワイヤー矯正)

症例ブログ

2026.07.09

2026.07.09

今回ご紹介するのは、
「前歯と口元の突出が気になる」とご相談いただいた患者様の症例です。
抜歯矯正・表側ワイヤー矯正で治療を行いました。

実際の治療前写真をもとに、どのように改善したのかをご紹介します。

※写真は患者様の同意を得て掲載しています。

治療前の状態

<初診時>

前歯が前方に少し突出している状態

全体の歯のガタつき(叢生)は少ないものの、上の前歯が前方に突出しており、いわゆる「出っ歯」の状態でした。真横からの写真では、上の前歯が前方に突出しているのが目立ちます。見た目の印象だけでなく、口を閉じにくい・前歯で噛みにくいなどの機能面への影響もありました。

真ん中がずれている状態

また、上下の前歯の中心のライン(正中線)にずれが認められました。

上下の唇が大きく前方に出ていて、下唇からあごにかけてのラインが膨らんだ状態

横顔では、Eライン(鼻先とあご先を結んだ線)に対して上下の唇が大きく前方に出ており、いわゆる「口ゴボ」の状態でした。特に下唇の突出量が顕著で、口元全体が前に押し出されて見える印象です。
また、口が閉じにくいことで口周りの筋肉が緊張し、下唇からあごにかけてのラインが膨らんだ状態でした。

診断と治療方針:原因は「骨格的なバランスと前歯の傾斜」

口腔内・顔貌写真に加え、セファロ分析(側貌レントゲン分析)などの検査結果を踏まえて、以下の特徴が認められました。

  • 下顎後退(下顎が小さく、骨格的な上顎前突)
  • 上の前歯の突出(出っ歯)
  • ハイアングル(下あごが縦に長く、フェイスラインが出にくい骨格タイプ)
  • 口ゴボ(口元の突出、下あごのラインが目立ちにくい)
  • 正中線のずれ
  • 軽度の叢生(ガタガタ)
下顎後退症とは

複合的な問題がみられましたが、口元の突出感の大きな原因は、前歯の傾きだけでなく、ベースにある「下あごの小ささ」にありました。下あごが後方に位置しているため、相対的に上あごや前歯がより前方へ突出して見えていたのです。

このような骨格的な問題がある場合は、「顎変形症」と診断され、下あごを骨ごと前方へ移動させる外科矯正治療が適応となることがあります。しかし、手術には一定のリスクや身体的負担を伴います。今回は患者様のご希望も踏まえ、外科手術は行わず、矯正治療のみで可能な限り口元の改善を目指す方針としました。

そこで、上下左右の小臼歯を合計4本抜歯し、そのスペースを最大限に活用して前歯を後方へ移動させることで、口元のボリューム感を抑え、顔立ちのバランスを整える治療計画としました。

1.  抜歯したスペースに前歯を移動

「口元をしっかり引っ込める」ためには、前歯を効率よく後方へ移動させる必要があります。そのため、通常は前歯に近い第一小臼歯(4番)を抜歯します。

しかし今回は、右上の5番目の歯が平均より小さいサイズだったため、抜歯する歯の選択には注意が必要でした。

平均より小さな歯がある場合、治療終盤に歯並びが整っても上下の歯がきれいに噛み合わない可能性があります。このため当院では、治療前にデジタルシミュレーションで最終的な噛み合わせを検証したうえで、抜歯する歯を決定しています。

シミュレーションの結果、5番目の小さな歯を残しても良好な噛み合わせが得られると判断したため、予定どおり4番目の歯を抜歯しました。

このように当院では、口元の見た目だけでなく、治療後の噛み合わせや機能面まで慎重に検討したうえで、抜歯する歯を決定しています。

抜歯箇所_上の歯
抜歯箇所_下の歯

この抜歯によってできたスペースを利用し、前歯を後方へ引き下げていきます。

2. スライディングメカニクスとループメカクス ー使い分けによる効率的な前歯の後退ー

スライディングメカニクスとループメカニクス比較

抜歯したスペースへ前歯を移動させる際には、まず「スライディングメカニクス」という方法を用いることが一般的です。

これは、前歯付近に取り付けたフックと奥歯の間にゴムをかけ、その力で前歯を後方へ引き下げる方法です。ゴムの力は約1か月で弱くなるため、月に一度の来院時に交換しながら歯を動かしていきます。抜歯スペースは1か月に約1mmのペースで閉じるとされています。

今回も、まずはスライディングメカニクスで治療を開始しました。しかし、下の抜歯スペースの閉鎖は想定よりも遅いペースでした。抜歯からある程度時間が経過すると、抜歯部の骨が硬くなり、歯の移動が遅くなることがあります。

そこで、下の歯のみ「ループメカニクス」へ変更しました。これは、ワイヤーをループ状に曲げ、ループの弾性を利用して前歯を後方へ移動させる方法です。スライディングメカニクスよりも効率よく力を加えられるため、移動が停滞していた下の歯にも効果が期待できる方法です。

歯が後退し隙間が大幅に縮小した

ループメカニクスへ変更したことで、停滞していた下の抜歯スペースはわずか2か月で大きく閉鎖しました。
このように、一人ひとりの歯の動きに合わせて治療方法を柔軟に選択することが、効率的で確実な治療につながります。

3. 横顔写真で理想の口元を確認しながら治療を進める

当院では、治療の途中で定期的に横顔の写真を撮影しています。

写真撮影には、主に2つの目的があります。

  • 治療の変化を客観的に確認するため

    口元が下がりすぎたり、逆に変化が不十分になったりすることを可能な限り防ぐため、治療の進行に伴う口元の変化を記録し、必要に応じて治療方針を調整します。

  • 患者様とゴールを共有するため

    患者様が求める口元と、歯科医師が治療計画として目指す口元が必ずしも一致するとは限りません。そのため、写真で治療の変化を一緒に確認しながら患者様のご希望を伺い、ゴールのすり合わせを行っています。

口元の印象は患者様によって理想が異なるため、写真を用いて変化を確認しながら対話を重ねることが、満足度の高い治療につながると考えています。これも、口元を下げる治療(口ゴボの改善など)における当院の特徴の一つです。

装置についてー表側ワイヤー装置ー

表側ワイヤー装置


矯正装置は、表側ワイヤー装置を選択しました。

ブラケットは歯の色に馴染みやすい白い「セラミック」製を、ワイヤーは標準的な「メタルワイヤー」を使用しました。

まとめ・治療後の変化

治療前後の変化_横顔②

治療後は、気にされていた前歯の突出感や口元のボリュームが改善され、より自然な口元になりました。

また、口が閉じやすくなったことで口周りの筋肉の緊張が解消し、下唇からあごにかけてのラインも、より自然なS字状のラインとなりました。

口唇の緊張が解けて力みや反転が軽減し、赤唇の見える量にも変化がみられます。

治療前後の変化_正中線のずれ

歯並びが整い、正中線のずれも治療を通じて改善しました。

今回のように、「口元が出ている」というお悩みは、歯並びだけでなく骨格のバランスが関係している場合も少なくありません。骨格に原因がある場合、「外科手術をしなければ改善できない」と思われる方も多くいらっしゃいます。しかし、下あごが後方に位置しているケースでは、抜歯で確保したスペースを十分に活用して前歯を後方へ移動させることで、口元の突出感や横顔のバランスを改善できる場合があります。

当院では、治療方針の決定から治療中の調整まで、患者様との対話を大切にしながら治療を進めています。

「どのような口元になりたいか」「どこまで改善したいか」といったご希望は、お一人おひとり異なります。そのため、ご希望を丁寧にお伺いし、治療中も口元の変化を一緒に確認しながら、その方に適した治療方法をご提案しています。

口元のお悩みや気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

治療前後の写真比較

治療前

治療前症例写真_正面

 

治療後(28か月)

治療後症例写真_正面
治療前症例写真_右
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治療後症例写真_右
治療前症例写真_左
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治療後症例写真_左
治療前症例写真_上
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治療後症例写真_上
治療前症例写真_下
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治療後症例写真_下
治療前症例写真_横顔
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治療後症例写真_横顔

治療内容のまとめ

患者様情報

年代 20代後半
性別 女性

治療情報

治療名称 ワイヤー矯正、便宜抜歯あり
治療費用 814,000円(10%税込)
その他費用 相談料:0円
検査・診断料:5,500円
管理料:3,300円/回
保定装置代:16,500円/個
経過観察料:2,200円/回
治療期間 2年4か月
通院頻度など 1か月に1回
その他治療に関する情報 なし

治療内容

患者様の症状 上下顎前突(口ゴボ)
治療方法 便宜抜歯4本行い、表側矯正を行いました。
装置はセラミックブラケットとメタルワイヤーを使用。
治療結果 上顎前突(口ゴボ)を解消。自然な口元に改善し、噛み合わせも整いました。
※治療結果は患者様によって個人差があります。

治療を行う上での注意点

リスク/副作用 月1回程度の通院が必要
調節後3日程度痛みがある
歯磨きが難しい
食べ物が挟まりやすい

監修歯科医師

小田垣 直弥

院長

マウスピース矯正や裏側矯正、口ゴボの改善などの難症例を得意としています。矯正歯科医として、患者様一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。

マウスピース矯正や裏側矯正、口ゴボの改善などの難症例を得意としています。矯正歯科医として、患者様一人ひとりの骨格や顔立ちに合わせた治療を心がけています。特に、見た目にこだわる大人の方には「見た目に矯正中だとわかりにくく、仕上がりにも妥協しない治療」を大切に、日本矯正歯科学会認定医として丁寧な診断とご提案を行っています。

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